追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
「道具も肥料もなんとかなります。ですが、私の魔法ではタネとか苗は出せません。グリーランドにないのなら、どこかから調達する必要がありますね」

「タネや苗か……」

 ディオは難しい顔で考え込んだ。
 その理由は私にもわかる。
 ほぼ鎖国状態のグリーランドが、どこか他の町と交流があるとは思えない。それに、目立つことを恐れ、居住区改革にも乗り気じゃなかったディオが、自ら外に出てタネや苗を調達しようとは考えないはずだ。変化を嫌い、安全と思う道を選ぶ、彼はそう言ったのだから。

「森の中を探索しますか? その方が安全ですし、なにか栽培出来るものがあるかもしれませんよ?」

「森は隅々まで探索済だ。山菜くらいしかないのは知っている」

「そうですか……」

 万事休す、である。水耕栽培の案は無くなった。
 また、なにか他の策を考えなくては……。

「少し考えさせてくれ。この件については、明日もう一度話そう」

「あ、はい。もちろんです」

 ディオはこちらを真っ直ぐに見て言った。
 長年販売員として接客業をしていた経験から、お客様が購買に対して前向きかどうかの判別は得意だ。
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