追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
「ええと、どこの国とも関りを持たない引きこもりという意味です」

「くっ、くくく……確かに」

「ゼクス。笑うな」

 突然俯いて肩を揺らすゼクスを、ディオがぴしゃりと窘める。引きこもりが受けたのかな? とにかくゼクスは冗談が通じるタイプだというのは理解した。

「なかなか、面白いお嬢さんだ。私は大変気に入りました」

「そうかい。で、来たのはあの件だな」

「はい。星見の宮様が月蝕の日時を特定しましたぞ」

「……とうとう来たな」

 ふたりの会話の内容がわからず、私の頭は混乱した。
 これ、どう考えても、部外者に聞かれてはいけない内容じゃない? 
 月蝕の日はファルナシオンの祝祭、私(聖女)が生贄にされる日。ソラスの星見の宮様とは、星の位置を読み、暦を作成する部署の最高責任者、閉じ込められていた私でさえ知っている超有名人だ。どちらにも高度に政治が絡んでいる。
 こんな山奥で鎖国状態の山賊たちが、興味を持つ話題ではない。途端に怖くなった私は、少し身を縮めてふたりの様子を窺った。

「それで、宮様がお会いしたいと言っておりますが」

「会うよ。もう隠れている場合ではないからな。ララ?」
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