追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
 展開が早い。水耕栽培が進むことは嬉しい限りだけど、頭の中でいろんな情報が混ざって、わけがわからなくなってくる。

「あと、鉱山の宝石を何個か貰いたいのだが」

「宝石?」

「宝石とタネや苗を交換したいと思っている、いいだろうか?」

 ディオは申し訳なさそうに言った。
 なんでそんなこと聞くのかな、グリーランドの鉱山なんだから、勝手に使えばいいのに。と思ったけど、そういえば、宝石の所有者は私だった。いろいろとパニックで頭もうまく働いていないらしい。

「いいですよ。宝石はグリーランドのために使おうと思っていますから」

「ありがとう。助かるよ」

「微笑ましいですな」

 私とディオを見て、目じりを下げたゼクスが言う。
 なにを見て「微笑ましい」と思ったのだろう。こんな普通の日常会話のどこに、そんな要素が?

「ディオ様も良い伴侶を得られまして、これからますます……おっと、口が滑りました。忘れてください」

「お前楽しんでいるな……まあいい。ソラスでの繋ぎと案内を頼むぞ」

「畏まりましてございます」

 優雅に一礼しゼクスはテントをあとにした。
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