追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
 茶色いブーツにモスグリーンの膝丈ドレス。寒さ対策にケープを羽織り、日差しを遮るための帽子も創る。商人らしく、なめし革の大きなリュックを背負うと……あら不思議。ベテラン旅商人の完成である。
 鏡がないので似合っているかどうかは知らない。ただ、守護獣たちが褒めちぎってくれたので、ある程度は自信が持てた。
 それから、私たちは森の中を王都郊外へと進んだ。真っ暗な森は足元さえ見えない。だけど夜目が利くムーンが的確に道案内をしてくれたので、迷うことなく王都脱出に成功した……が。
 ここで私は、致命的なことに気付いてしまったのだ。ララ・レダー・カレリアス、長年閉じ込められていた薄幸の令嬢は、ガリガリでチビな上に、死ぬほど体力がなかった。森の中をゆっくり歩いているだけなのに、足がカクカクと震え、息が上がる。動かないから筋力も持久力もない。これでは生贄にされなくても森で野垂れ死ぬ。

「主殿、我の背に乗った方がよくはないか?」

「そうした方がいいですよ? なんともおいたわしい姿になっておりますので……」

 守護獣たちが蹲る私に言った。
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