追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
 スピネの背に乗った方が早いのは確かだ。でも、ここで体力強化をしておかないと、どこでだって生きてゆくのが辛くなる。

「いいえ! トレーニングしながら歩くから平気よ! ムーン、出来るだけ起伏の緩やかな道を選んでくれる?」

「は、はぁ。それは問題ありませんが」

 訳が分からない様子の守護獣たちを連れ、私は一歩踏み出した。無理はしない。ゆっくり少しずつ慣らせてゆく。そうすれば、必ず筋力は上がる。片道十キロペダルを踏んでいた私を舐めないで欲しいわ!
 気力と意地でなんとか一晩歩を進め、王都からかなり離れた森の中の川辺で、私たちは一旦仮眠をとることにした。
 朝日がもうすぐ顔を覗かせようとする中、手持ちの宝石でアウトドア用のキャンプセットを出し、慣れた手つきでテントを立てると、守護獣たちが感嘆の声をあげた。

「これは、家なのですか? 素晴らしい! 家を持ち運び一瞬で建築するなんて、さすがララさま!」

「主殿の力は破格であるな」

「まあ、このくらい普通よね」
< 16 / 275 >

この作品をシェア

pagetop