追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
 フェイロンが目を覚ました。その表情はとてもすっきりしていて、初めて会った時の小難しい様子も緩和されている。一言で言うと、憑き物が落ちたという感じだ。

「おはようございます、お気に召していただけたようですね」

「ああ、気に入った!」

「では、暦も下さいますね?」

「いいぞ。他国には出回らない完全版をくれてやる。潮の満ち引き、月の満ち欠け、おまけに月蝕の日にちと時間も正確に記されている。必要なのはこっちだろうからな」

 フェイロンは立ち上がり、机の抽斗から黒い表紙の冊子を取り出した。そして、ディオに向かって、ぞんざいに放り投げた。

「おっと。ありがとう。じゃあ、俺たちはこれで……」

「待って下さい!」

 目的を果たし、帰ろうと踵を返したディオとゼクスに向けて、私は叫んだ。
 まだ、やり残したことがあったからだ。

「ララ、どうかしたか?」

「私、宮様にご提案があるのです!」

「フェイロンに?」

「わたしに?」

 ディオとフェイロン、ふたりが同時に叫ぶ。どちらも、どうしてなのか理由がわからないようだ。
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