追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
 朱色の門を南下し、大通りに帰って来ると、また賑やかな熱気に包まれた。午後を少し過ぎたくらいの大通りは、一日で一番活気に溢れた時間である。
  もう少しで酒場に着きそうになった時、ゼクスが申し訳なさそうに言った。

 「あの、ララさん。お願いがあるのですが」

 「はい。なんでもどうぞ?」

 「私にも自転車を創ってもらえないでしょうか」

 「ああ、もちろんいいですよ!」

 フェイロンが楽しそうに乗っていたから、欲しくなったのかな? ゼクスが自転車に乗るという想像は出来ないけど、バイク人口が増えるのは嬉しい限りである。

「ありがとうございます! 大通りは無理ですから、裏通りで密かに練習します。私にも乗れるでしょうか?」

「大丈夫、乗れます。練習しましょうね」

 そう言うと、ゼクスはほっとしたような顔をした。
 そんなゼクスを見て、ディオが悔しそうに言った。

「俺が先に頼もうと思っていたんだがなあ」

「えっ? ディオも?」

「うん。あの場では言わなかったけど、正直、フェイロンが羨ましくて仕方なかったよ」

 どうした? 自転車大人気か! 来るか、第一次自転車ブーム!
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