追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
「は? ドラゴン? あの、翼があって火を噴く、あれ?」

 信じられず、後ずさりをしながら、紫水晶の全体を見た。
 すると、スピネの言う通り、シルエットはドラゴンっぽい。さすが本格ファンタジー小説、やっぱり定番のドラゴンは登場するらしい。

「でも、彫像になっているみたいよ? 動きそうにもないし」

「然り。だが、精神は生きている。耳を澄ませると声が聞こえてくるはずだ」

「声?」

 ムーンが羽ばたきを止めてスピネの背に降りると、静寂が訪れる。洞窟に落ちる水滴の音しか聞こえない中、どこからか悲しげな声が聞こえてきた。

『……シテ、クダサイ……』

小さすぎて聞き取れない。肝心なところがわからないな、と思っていると、今度ははっきり声がした。

『ハカイシテ、クダサイ』

 破壊して下さい、確かにそう聞こえた! このドラゴン、会話が出来るのかもしれない。だとすると、呻き声を出す理由も解決するわ。

「ねぇ、どうして破壊するの?」

『ワタシハ、ドラゴンノ、イキノコリ……ワルイヤツガキテ、スイショウニ、カエラレテシマッタ……』
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