追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
 荷物を出そうとした私を、弓を持った細身の男が脅す。
 身の潔白を証明しようとしただけなのに、あんまりじゃないですか?
 だいだい、か弱い女の子がひとり、早朝に人の足では絶対来られない山脈の中腹にいるのを見て、怪しむなんてどうかしているわ……ん?いや、どうかしているのはこっちか? 
 この状況、どうみてもめちゃくちゃ怪しいわ! 震える私に、大男が言った。

「とにかく。お前を捕えて牢に入れておく」

「牢? 冗談じゃないわ! なにも悪いことしてないのにどうして? 私には大事な用事があるのよ!」

そう!宝石をごっそり頂くという、大事な用事が……って、これじゃあ完全に悪者のセリフ。
でも、せっかく自由になったのに、ここでまた閉じ込められるなんて絶対ごめんだわ。

「うるさい! 来いっ!」

 大男が腕を掴んだ。その握力の強さに私の腕に激痛が走る。「痛っ」と思わず呻くと、周囲の雰囲気が一変した。
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