タケノコ令嬢は今日もタケノコ掘りで忙しい
☆☆☆

 そしてとうとう、タケノコが地面より顔を出す日が訪れた。鍬とカゴを、二本しかない腕で抱き抱えて、ロッサナは竹林へと足を運ぶ。
 この竹林は整備されていないし、初めての場所だからタケノコの生え方がわからない。とりあえず、掘った場所はメモしようと、カゴの中にはメモ帳とペンもある。

 かわいらしいタケノコの頭の向きを確認する。こんにちは、と倒れてきている方に、グワッとグサッと鍬を入れるはず。
 手応えがあった。タケノコの頭を掴んだら、地面からはなれてきた。よく見ると下の方には赤いぶつぶつが。根っこだ。途中から切らずに済んだらしい。

 よしっと心の中で叫ぶ。掘ったタケノコはカゴの中へ。

 タケノコを探すついでに竹皮も探そうと思ったが、竹皮の季節はもう少し先だったような気もする。タケノコのシーズンが終わる頃。
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