タケノコ令嬢は今日もタケノコ掘りで忙しい
「何かの間違いではありませんか?」
 ロッサナが問う。「私はあの王太子から婚約破棄をされ、挙句、侯爵家から捨てられた人間ですよ?」

「それが間違いじゃないのよ」

 相手が王弟殿下であるロレーヌ公爵であることは間違いないのだ。だが、なぜ彼がロッサナに結婚を申し込むのかがわからない。
 祖母が見せてくれた封書はロレーヌ公爵の家の押印で封印されていた跡がある。

 まさか、ロレーヌ公爵の嫁のなり手がなくて、あの王太子の元婚約者でもどうか、という話があがったとでもいうのか。

「大変ありがたい申し出ですが、できればお断りを」
 ロッサナは、そう言うのがせいいっぱい。

「断るのか?」驚き、祖父は問う。ロッサナは頷く。

「私はこの領地の竹林の管理を任されている者です。この地を離れて、他のところに嫁ぐなんて、今は考えられません。竹林の管理もまだ不十分ですし、この地の特産となりつつタケノコもやっと軌道にのったところ。タケノコをおいて、私は嫁ぐことはできません」

 どうやら、ロレーヌ公爵はタケノコに負けたらしい。

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