タケノコ令嬢は今日もタケノコ掘りで忙しい
 上から目線の男だな、と思った。だが自分は新参者だし、領主でもない。そこは我慢しようと思う。

「わかりました、エドさん。それで、どのようなご用件でしょうか」

「いや、その悪かったな」

「何が。ですか?」

「その、王太子との婚約破棄のことだ」

「お気になさらないでください。事実ですから」
 そこで上品に笑む。「それに、それが無かったら今でもあの閉じ込められた学校の中です」

 ロッサナは王太子より二つ年下だった。本来であれば、まだ学業に励む身。だけど、父親のトスカーニ侯爵に捨てられたから、もうあの学校に通うことは無いだろう。
「すべては縁なのです」
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