因縁の御曹司と政略結婚したら、剝き出しの愛を刻まれました
「生クリームがついている」
光圀さんは静かに指摘して、ぐいっとその場所を拭った。
ドキッとして固まっていると、彼はぺろりと赤い舌を出して自分の指先を舐めた。
う、嘘……。光圀さん、そんな行儀の悪いことをする人だっけ?
その行動が意外だったのと、一瞬覗いた彼の舌があまりにセクシーだったので呆然とする。
すると、テーブルを挟んで正面にいる伊織さんが心配そうに言った。
「先生、そろそろお酒をやめた方が」
「ん? いや、まだ平気だ」
「しかし、明らかにその……いつもの先生ではなくなっていると言いますか」
遠慮がちに言う伊織さんを見ていて、そういうことかと気が付く。
光圀さん、酔っているんだ。顔が赤くないから気づかなかったけれど、さっきの行動は明らかに彼らしくないもの。
「なにを言う。いつもと同じだろう? なぁ和華」
光圀さんの手が、私の肩をぐっと抱いて自分の方へ引き寄せる。
そして、手にしている日本酒のグラスをぐいっと呷り、お酒の香りがする顔をじりじり近づけてきた。
いつもは涼やかで凛とした瞳が、トロンと甘く潤んでいる。