因縁の御曹司と政略結婚したら、剝き出しの愛を刻まれました
苦笑しながら、伊織さんが首を伸ばして庭の一角を見つめる。
そこでは彼と同じ深緑の作務衣に身を包んだもうひとりの弟子、相葉太助くんが背中を丸めて草むしりをしているところだった。
伊織さんよりやや背が低く、髪や瞳の色素が薄い中性的な顔立ちをしている美男子だ。
なんとなくその姿を見ていたら、見覚えのある割烹着の女性が彼のそばに立つ。
「太助さん、何度言ったらわかるの。雑草は根元から抜くものだと言っているでしょう」
「根元を残しても抜いても、新しく生えてくる時期は大して変わりません」
「私は見栄えのことを言ってるんです。ゴミ袋はどこ? むしった草を早く入れなさい」
「放っておいても土に還りますから、袋を無駄にしなくてもいいかと」
太助くんは高圧的な楓子さんの態度も風のように受け流し、冷静に返している。というか、むしろ反抗的?
私よりひとつ年下なはずなのに度胸が据わっていて、感心するくらいだ。
「そういう問題じゃないの。この家の庭に雑草が散乱していたら、お客様が来た時に恥ずかしいでしょう? いいから早く片付けなさい」
「……わかりました」