因縁の御曹司と政略結婚したら、剝き出しの愛を刻まれました

「……こういった場でかわいいことを言うのはやめてくれ。夜に発散するだけでは持たなくなるぞ」
「えっ?」

 どきりとして、今度はこっちが赤くなる番である。

 光圀さんはその反応を見て、ふっと満足げに笑う。

「冗談だ。みんなに団子でも買って帰ろう」
「か、からかいましたね?」
「まぁな。しかし、半分は本音だ」

 光圀さんは山門を出たところで、周囲をぐるりと見まわす。それから大きな体で私を隠すようにして、一瞬、触れるだけのキスをした。

「光圀さん、ここ、外……」
「半分本音だと言っただろう。今日のところはこれで許してやる」

 目を細め、獣のような鋭い眼差しで私を射貫いた光圀さん。

 夜、ひそやかな夫婦の時間に甘くなる彼には慣れてきたところだったけれど、こんな明るい時間の街中で彼が豹変するなんて初めて。

 再び手を繋いで歩きだし、団子を買って醍醐家に戻るまでの間も、私は心臓の高鳴りを抑えきれず動揺しっぱなしだった。


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