因縁の御曹司と政略結婚したら、剝き出しの愛を刻まれました

 素朴な疑問を口にしたら、光圀さんは一瞬きょとんとして、ぷっと笑った。

 いつもの上品なイメージとは違い、思わず吹き出してしまったという感じだ。

 私、そんなにおもしろいこと聞いたかな?

「きみはお腹が空いてるんだな?」
「えっ? いえ別に……」
「昨日の夕食は思うように食べられなかっただろうし、朝食がまだなら空腹で当然だ。挨拶が終わったら朝食を作らせよう。俺は座禅の前に済ませているから、自分のペースでゆっくり食べるといい」

 自分の心境を口にしたわけじゃないのに、光圀さんにはそう聞こえたらしい。

 なんだか催促したみたいで恥ずかしいが、正直なところお腹はぺこぺこだ。

「……はい。いただきます」

 素直に返事をすると、光圀さんは優しく目を細めて笑ってくれた。

 食事は、昼食のみ各々で自由に取り、朝夕は家政婦や弟子と順番に時間をずらして、母屋の北側にある広々とした食堂で取るそうだ。

 段差のついた小上がりに和モダンなテーブルが二列置かれ、台所は土間になっている。

 勝手口から出ると、家政婦や弟子たちが暮らす離れの前に繋がっているらしい。

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