因縁の御曹司と政略結婚したら、剝き出しの愛を刻まれました
料理は家政婦だけの仕事かと思いきや、弟子の伊織さんと太助くんも修行の一環で当番になることがあるのだという。
今日の当番は太助くんで、私と光圀さんが食堂に入った時も台所にいた。
しかし、その手に持っているのは洗い物用のスポンジ。片付けの最中だったようだ。
「太助。和華に朝食を」
「はい」
「あ、あの、私、自分でやりますよ」
光圀さんは当然のように太助くんに指示したが、洗い物中の彼に頼むのは申し訳ない。
「和華には別の仕事を頼む。昨日話しただろう?」
「あ……もしかして、スマホの操作ですか?」
「ああ。今日はこれから上野に出向いて、香道教室の生徒に稽古をつけなければならない。夕方には終わるが、帰宅時間をきみに知らせるくらい、できるようになっておきたい」
光圀さんはそう言って、懐から黒いスマホをスッと取り出した。
スマホカバーはつけておらず、普段全く使っていないというだけあって、新品のように綺麗。
「わかりました。じゃ、私がスマホのお稽古をつけてあげます」
「よろしく頼む」