因縁の御曹司と政略結婚したら、剝き出しの愛を刻まれました
とうたまのだでん……もしかして、父様の座禅?
徹志を挟んだ反対側では、光圀さんも同じ答えに思い至ったらしく、おかしそうに肩を揺らしている。
「なるほどな。記念に一枚撮ってもらおうか、とうたまのだでん」
「ふふっ、そうしましょうか。兵吾くーん」
一度兵吾くんを呼び寄せ、写真のリクエストを伝える。
彼は「了解」と指でOKサインを作ってまた前方に戻り、私たちにカメラを向けた。
「じゃ、最初は徹志くん、カッコいい座禅なー」
「あいっ」
目を閉じた徹志は、光圀さんの真似をしているらしくちょっぴりしかめ面だ。
「かわいいな」
「はい、本当に」
夫婦で軽く目を合わせて微笑んだその時、カメラのシャッター音がした。
カメラ目線で取るものだとばかり思っていたから、不意を突かれて驚く。
「今のおふたり、とてもいい表情でしたよ」
人力車に歩み寄ってきた兵吾くんが、カメラの背面モニターに今撮影した写真を表示させてくれる。
中央に〝とうたまのだでん〟をする徹志、そして私と光圀さんは、徹志を挟んで自然な笑顔で目を合わせている。
「ホント、いい写真」
「来年の年賀状はこれだな」
まだまだ小さな徹志が光圀さんのような立派な家元になるかどうかはわからないけれど、彼と一緒に、ゆっくり成長を見守っていこうと思う。
肩を寄せ合う私たちの間には、今日も白檀がふわりと優しく香っていた。
FIN


