因縁の御曹司と政略結婚したら、剝き出しの愛を刻まれました

 醍醐流香道の立派な家元である光圀さんが私に教えを乞うなんて、なんだか立場が逆のようでおもしろい。

 なにより、長い間疎遠で気まずかった光圀さんと、こうして普通に話せるようになったのが、私にはうれしかった。

 結局料理は太助くんに任せ、私はテーブルに自分と光圀さんのスマホを並べて、レクチャーを始めた。

「これが、私と光圀さんのトークルームです。メッセージやスタンプ、写真、動画のやり取りができます」
「スタンプ、とは?」

 光圀さんの瞳は真剣そのもの。スマホを覗くお互いの顔が近いが、意識しているのは私だけのよう。

 凛々しい横顔をジッと見るとドキドキしてしまうので、極力スマホだけを見る。

「了解とか、ありがとうとか、文字を打つ代わりにスタンプを打てば操作が楽ですし、色々な種類があるので受け取る方も楽しいんです。例えば……」

 私はダウンロード済みのスタンプをひとつ選び、光圀さんに送る。

 短い電子音が鳴り、光圀さんのスマホにも同じスタンプが表示された。

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