没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~
「伯父上の従僕について書かれていた」
従僕は主に身の回りの世話をする使用人だが、国政会議の場に同行し、レオポルドに書類を渡したりメモを取ったり、助言までして補佐する者がいたらしい。
お仕着せ姿の従僕が議場でそのような振る舞いをするためかなり目立っていたと書かれていた。
レオポルドには良家の子弟である近侍がふたりいたはずなのに、その従僕の方を頼っていたのが窺える。
ジェラールの説明は理路整然として事務的にも感じるが、その声には気の高ぶりを押さえているような響きがあった。
オデットが振り向いたら近すぎる距離に端整な顔があって鼓動が弾み、慌てて視線を前方に戻して問いかける。
「その方のお名前は書かれていたんですか?」
「いや。だから王城に戻って調べた」
過去の使用人名簿から見当をつけ、その頃から勤めている王城の使用人にも話を聞いて名前を特定したという。
「スチュワート・ガレ。当時の年齢は二十五歳。頭脳明晰な青年だったらしい。古参の使用人の記憶によると、頬骨の張った顔立ちで髪は焦げ茶色、瞳は青。右手の甲にシミのような大きなほくろがあるのが特徴だそうだ」
従僕は主に身の回りの世話をする使用人だが、国政会議の場に同行し、レオポルドに書類を渡したりメモを取ったり、助言までして補佐する者がいたらしい。
お仕着せ姿の従僕が議場でそのような振る舞いをするためかなり目立っていたと書かれていた。
レオポルドには良家の子弟である近侍がふたりいたはずなのに、その従僕の方を頼っていたのが窺える。
ジェラールの説明は理路整然として事務的にも感じるが、その声には気の高ぶりを押さえているような響きがあった。
オデットが振り向いたら近すぎる距離に端整な顔があって鼓動が弾み、慌てて視線を前方に戻して問いかける。
「その方のお名前は書かれていたんですか?」
「いや。だから王城に戻って調べた」
過去の使用人名簿から見当をつけ、その頃から勤めている王城の使用人にも話を聞いて名前を特定したという。
「スチュワート・ガレ。当時の年齢は二十五歳。頭脳明晰な青年だったらしい。古参の使用人の記憶によると、頬骨の張った顔立ちで髪は焦げ茶色、瞳は青。右手の甲にシミのような大きなほくろがあるのが特徴だそうだ」