没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~
「私は聖女降臨の噂を聞いたので、国王陛下に申し上げただけでございます。陛下は大層ご興味を示されまして、それですぐさま聖女サラ様と会えるよう取り計らったのです。晩餐会の話もその時に。入れ知恵など、とんでもございません」

「余計な真似を。あなたが聖女の話をしなければ、こんなことにはならなかったんだ」

「私が話さずとも、いずれ陛下のお耳に入るでしょう。なにしろ世間が聖女降臨に沸いておりますからな。もしや殿下のお怒りは、ログストン伯爵令嬢との婚姻が白紙に戻されたことが原因で? いやまさかですな。王太子殿下ともあろうお方が、国のためになる聖女より、なんの役にも立たないどころか貴族たちを怒らせるだけの令嬢を選ぶはずがない」

その言い方にジェラールは奥歯を噛んだ。

オデットをよく思わないのは、インペラ宰相を始めとした親王派の有力貴族だけだ。

レオポルド派を政界に戻せばこれまで独占状態だった利権を分散させねばならず、議会で意見も通しにくくなるだろうから。

しかし異なる考え方の者とも議論を交わす方が、よりよい結論に至るはずである。

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