没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~
オデットとの結婚は、国のためになるはずだとジェラールは主張しようとした。

けれどもその前に、駆けつけたカディオに止められた。

「急ぎの案件がございますので殿下はお戻りを。インペラ宰相、失礼いたします」

執務室に連れ戻されたジェラールは、休憩用のソファにドサッと腰を下ろした。

舌打ちをしたジェラールの脇に立ったカディオが低い声で注意する。

「インペラ宰相とやり合ってはいけません。殿下に関して懸念があると、話を大きくして国王陛下に報告しかねません。堪えてください」

「お前は誰の味方だ?」

ついカディオを睨んでしまったら、悲しい目をされて我に返る。

「すまない。あたってしまった。焦っているんだ。どうすればいいのか……」

頭を抱えるジェラールを見て、カディオがハーブティーを淹れてくれた。

カモミールをベースにレモングラスやオレンジピール、蜂蜜を加え、ひと口飲んだら怒りや焦りが少しだけ和らいだ。

「ありがとう」

ジェラールが落ち着いたのを見計らい、カディオが話しだす。

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