没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~
「殿下とオデット嬢のご結婚話が出たところでの聖女降臨。そして国王陛下の急な方針転換。レオポルド派の貴族を政界に呼び戻す話はどこへ行ってしまったのでしょうか」

カップの水面に視線を留めていたジェラールが、顔を上げてカディオを見た。

「なにか知っているのか?」

「疑問点を整理しただけです。私にはオデット嬢のような千里眼はありませんので。ただ国王陛下のお人柄が変わってしまったことは、おかしいと強く感じます。それと聖女サラ様をお見かけした時に――」

一昨日、国王に会うために聖女サラが登城した。

ジェラールは公務で外出していたが、カディオは廊下でサラを見かけたという。

腰まである波打つ髪は真っ黒で目立っていたそうだ。

「童話の聖女サヨは黒髪です。サヨと同じ世界からやってきたサラ様も同じ色の髪。ですが目鼻立ちに珍しさは感じませんでした。異世界がどのようなものかわかりませんので聖女サラ様が偽者だと申しているわけではございません。気になったのはインペラ宰相がやけに馴れ馴れしかった点です」

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