没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~
インペラ宰相は謁見室前の廊下でサラの肩を抱くようにして話しかけていて、サラは嫌がることなく頷いていたという。

カディオが通りかかると、インペラ宰相が急にサラから体を離したのも気になったそうだ。

ジェラールは身を乗り出すようにカディオの話を聞き、様々な可能性を瞬時に吟味する。

そして数秒後には、ひとつの結論に辿りついた。

(なるほどそういうことか。父上は宗教を妄信する性格ではないのに、急に聖女を手に入れようとするからおかしいと思ったんだ。だが確証を得るにはパズルのピースが足りない。オデットの協力も必要だな)

急にすっきりした顔でハーブティーを飲むジェラールに、カディオが微笑した。

「なにかおわかりになったのですね?」

「ああ。カディオが近侍でよかった。感謝する」

「恐れ多いことでございます。それで私にもまだ教えてくださらないのですか?」

「いや、お前だけには話すよ。調べてもらいたいこともある。聖女サラはおそらく――」

推測を打ち明けるジェラールの口の端が、悪巧みを楽しむかのようにニヤリとつり上がった。



* * *


翌日は冬晴れの空が広がり、いくらか暖かい。
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