没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~

「今日はこちらの女性の服を見立ててほしい。急いでいるんだ。帽子と靴とバッグも用意してくれ」

「かしこまりました」

「あ、あの……」

王太子に同行するにはやはりこの服ではいけないということか。

だとしても高い買い物をさせるのは気が引ける。

どうしたらいいかと考えているうちにカーテンの奥に連れていかれて、あっという間に着替えさせられてしまった。

女性店員に姿見の前に立たされたオデットは目を疑った。

(これが私なの?)

デイドレスは今まで着ていたワンピースと同じ黄色だが、生地に薔薇の刺繍が施されて高級感がある。

フリルとレースが華やかさを添え、トレードマークのリボンのカチューシャはシルク素材のものに取り替えられた。

鍔が広い帽子にお洒落なハンドバッグと光沢あるパンプスは、店員総動員で近隣の店から買い集めたものだという。

ジェラールから贈られたダイヤモンドのネックレスの高級感が、この服装なら違和感がない。

(まるで貴族令嬢みたい……あ、私も一応貴族だったわ)

年頃の乙女なのでお洒落をすれば気分が高揚する。

鏡の前でクルリと回って微笑めば、カーテンが開けられた。

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