没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~
「お待ちしておりました。王太子殿下が我が家をお訪ねくださるとは、恐悦至極に存じます。なにぶん狭い屋敷で恐縮ですがどうぞお入りください」
(えっ、これで狭いの?)
どこが狭いのかと言いたくなるが、王城に比べたらの話だろう。
夫妻は五十になろうかという年頃に見える。
グスマン伯爵は中肉中背で白髪交じりの薄茶色の髪を七三分けにし、灰青色の瞳で鼻髭が似合う紳士だ。
夫人はふくよかで化粧が濃く、右手の中指に大きなルビーの指輪をはめていた。
(ピジョンブラッドじゃないかしら?)
特定の地方で採掘されたルビーの中でも、とりわけ濃い赤みの最高級品をピジョンブラッドと呼ぶ。
大粒のものは非常に貴重で珍しく、オデットは前世で二度だけ出会うことができた。
胸をときめかせて指を組み合わせたら、咳払いをしたジェラールに肘でつつかれる。
(いけない、私ったら。失礼のないようにしないと)
我に返ったところで紹介される。
「こちらはカルダタンの宝石鑑定士、オデットさんです。手紙に書いた通り、今日は宝石について尋ねたいので同行してもらいました」
(えっ、これで狭いの?)
どこが狭いのかと言いたくなるが、王城に比べたらの話だろう。
夫妻は五十になろうかという年頃に見える。
グスマン伯爵は中肉中背で白髪交じりの薄茶色の髪を七三分けにし、灰青色の瞳で鼻髭が似合う紳士だ。
夫人はふくよかで化粧が濃く、右手の中指に大きなルビーの指輪をはめていた。
(ピジョンブラッドじゃないかしら?)
特定の地方で採掘されたルビーの中でも、とりわけ濃い赤みの最高級品をピジョンブラッドと呼ぶ。
大粒のものは非常に貴重で珍しく、オデットは前世で二度だけ出会うことができた。
胸をときめかせて指を組み合わせたら、咳払いをしたジェラールに肘でつつかれる。
(いけない、私ったら。失礼のないようにしないと)
我に返ったところで紹介される。
「こちらはカルダタンの宝石鑑定士、オデットさんです。手紙に書いた通り、今日は宝石について尋ねたいので同行してもらいました」