没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~
「いや、こっちの話。あの執事は忠誠を誓う相手が他にいるような気がしてね。グスマン伯爵の意志を尊重しているから不遜な態度を取っているわけではないと思ったんだ」
グスマン伯爵が王家に敵意を持っているなら由々しき事態だが、執事にはどう思われようと構わないらしい。
他貴族と一切交流がないオデットはなんのことやらとポカンとしてしまい、ジェラールがハハと笑う。
「オデットは難しいことを考えなくていいよ。君にはいつも宝石のように目を輝かせていてほしい。俺の周囲はドロドロしているから、無垢な好奇心や笑顔に触れると癒されるんだ」
テーブル越しに手を伸ばされ、よしよしと頭を撫でられる。
大きな手の温かさに胸を弾ませたらドアが開き、数冊の分厚い帳簿を抱えた執事が戻ってきた。
一礼してテーブルに茶色い革表紙の帳簿を置く。
「こちらがお求めの銀食器の管理簿です。十六年前から五年分ですが、必要でしたらさらに過去のものもお持ちいたします」
「ありがとう。たぶんこれで間に合うはずだ」
執事はドア前まで下がり、ジェラールが早速管理簿を膝にのせて開く。
グスマン伯爵が王家に敵意を持っているなら由々しき事態だが、執事にはどう思われようと構わないらしい。
他貴族と一切交流がないオデットはなんのことやらとポカンとしてしまい、ジェラールがハハと笑う。
「オデットは難しいことを考えなくていいよ。君にはいつも宝石のように目を輝かせていてほしい。俺の周囲はドロドロしているから、無垢な好奇心や笑顔に触れると癒されるんだ」
テーブル越しに手を伸ばされ、よしよしと頭を撫でられる。
大きな手の温かさに胸を弾ませたらドアが開き、数冊の分厚い帳簿を抱えた執事が戻ってきた。
一礼してテーブルに茶色い革表紙の帳簿を置く。
「こちらがお求めの銀食器の管理簿です。十六年前から五年分ですが、必要でしたらさらに過去のものもお持ちいたします」
「ありがとう。たぶんこれで間に合うはずだ」
執事はドア前まで下がり、ジェラールが早速管理簿を膝にのせて開く。