没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~
「いえ、殿下がいらっしゃったからというわけでは決してございません」

「グスマン伯爵。できればあなたから真実を話してもらいたかったが、仕方ないので私が言いましょう」

オデットはゴクリと唾をのむ。

ジェラールが続きを口にしようとしたが、シュルビアがスッと立ち上がった。

「私から申し上げます」

その声は覚悟を決めたようにはっきりとしていて、視線は伯爵夫人に向けられている。

「十六年前に身ごもった子供の父親は旦那様です。奥様、大変申し訳ございません」

シュルビアは絨毯に両手と膝をつき、夫人に深々と頭を下げる。

オデットは息をのみ、夫人はショックに固まっていた。

「シュルビア、なにを言うんだ!」

焦り顔のグスマン伯爵がソファから腰を浮かせたが、ジェラールに片手で肩を押さえられて唸った。

「私がこちらに勤め始めた十五の時から、旦那様に夜の相手をするよう命じられていました」

従わなければ辞めさせられると思ったため、拒否できなかったそうだ。

それなのに妊娠したら解雇を言い渡された。

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