エリート警察官は彼女を逃がさない
「主に警護を? 警備部の方ですか?」
多少の知識を呼び起こして尋ねれば、「そんなところ」と曖昧なセリフが帰ってくる。

警察官が自分の職務を初めて会った人間に話すわけがないと、少し考えればわかる話で私はそれ以上問いかけるのはやめた。

先ほどのマネージャーの態度、そして警視正という肩書からも警視庁警備部警護課あたりのエリートなのだろう。
その仕事柄、私のかけた技の名前も知っていたことに納得がいった。

「今日は本当に悪かった。あの後仕事は大丈夫だった?」

「はい、きちんとネームプレートもつけました」

疑われたときのことを笑い話にするように、軽い感じで言えば彼も穏やかに笑った。

「それにしても武道はどこで?」
昔の苦い経験もあり職場では隠していることだが、すでに知られてしまっているので、今更隠しても仕方がない。
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