エリート警察官は彼女を逃がさない
「実家が道場なんです」
「それで。見事な技だった」
本当に感心してくれているようで、私はチラリと運転する姿を見る。
「女らしくないとか思わないんですか?」
初対面の人に何を聞いているのかと思ったが、つい口からこぼれてしまった言葉を止められず私は言い訳を捜す。
「だって男の人はやっぱり可愛らしくて守ってあげたい人がいいかなって」
「それは過去の男が言ったの?」
さらりと声音は変わらなかったが、ズバッと言われてしまい返答に困ってしまう。
「そんな大した関係ではないですよ。でもこのことを知ったら自分より強い女に興味はないって」
それほど好きな相手ではなかったが、大学時代周りの友達に彼氏ができた時、隣の大学の人から告白をされて付き合ったことがあった。
しかし、ひったくり犯を捕まえたところを見た途端、態度が変わった。そして先ほどのセリフを言われたのだ。