エリート警察官は彼女を逃がさない
「こっちへこい」
母屋の隣にある道場へと歩いていく父の後ろから、征爾さんもついていく。
「征爾さん、こんなことしなくていいです。別に私は何も望んで……」
「美緒、黙ってて」
静かに言われてしまい、私は口をつぐむ。どうしてこんなことことまでするの?
全く意味が解らず、私はただオロオロするしかない。
「美緒、まあ頑張れよ。俺行くわ。おばちゃん、今日の野菜もらってくね」
緊張感のないこうちゃんに呆れつつも、事の成り行きを見守るしかない。
シーンと静まり返った畳に父が上がればそれだけで緊張をしてしまう。
滅多に本気になることなどない父だが、今は怒りが見えそうだった。
それに対し、征爾さんは静かに畳に礼をした。