◇水嶺のフィラメント◇
「扉は此処よ、メティア」
「え?」
広場の中心に位置していた切り株から更に進み、再び繁った木立に分け入った其処には、ひときわ大きな樹木が一本立ちはだかっていた。
幹の太さは大人五人が手を繋いでも、一周出来そうにもない巨木だ。
その樹を指し示して振り返ったアンに、メティアは再び仰天の声を上げた。
「いやっ、扉って……ただの大木じゃないか!」
オイルランプを近付けてみても、何の変哲もある様子はない。
「視えないけれど此処にあるのよ……理由は分からないのだけど、レインとあたしだけが開くことが出来るの。ナフィルとリムナトの王宮から地下道に入るための石壁もそう。フォルテが触れても壁は回転しなかったから、この扉もきっと他の人には開けられないわ」
「それじゃ、あたいもなのかな……」
恐る恐る赤い指先を樹皮に触れさせたが、確かにメティアには一切の反応も見せない。
「え?」
広場の中心に位置していた切り株から更に進み、再び繁った木立に分け入った其処には、ひときわ大きな樹木が一本立ちはだかっていた。
幹の太さは大人五人が手を繋いでも、一周出来そうにもない巨木だ。
その樹を指し示して振り返ったアンに、メティアは再び仰天の声を上げた。
「いやっ、扉って……ただの大木じゃないか!」
オイルランプを近付けてみても、何の変哲もある様子はない。
「視えないけれど此処にあるのよ……理由は分からないのだけど、レインとあたしだけが開くことが出来るの。ナフィルとリムナトの王宮から地下道に入るための石壁もそう。フォルテが触れても壁は回転しなかったから、この扉もきっと他の人には開けられないわ」
「それじゃ、あたいもなのかな……」
恐る恐る赤い指先を樹皮に触れさせたが、確かにメティアには一切の反応も見せない。