こばとヴィレッジで夢を叶えましょう~ある革職人の恋のお話~
コンコンと軽く扉を叩き、「コハルノ食堂でーす」と言いながら扉を開ける。
背中を丸めて作業をしているケイが背中をグッと伸ばした。
「もう昼か…」
「だから、昼じゃないんですって。もう二時です」
呆れながら小春は、持ってきた紙袋を作業台に置いた。
「今日は、ケイさんからリクエストのあったおにぎり弁当ですよ」
大きなおにぎり二個に具沢山の豚汁。唐揚げと野菜サラダ。
紙袋から取り出すと、ケイは「美味しそう」と喜んだ。
ケイがおにぎりを頬張るのを見ながら、お茶を淹れる。
「喉、詰まらせないでくださいね」
「大丈夫」とケイはもごもご言いながら、テーブルをとんとんと叩いた。
「座れってこと?」
「うん」
小春は、何事?というように、恐る恐る椅子に座った。
「約束のおにぎりを食べさせてくれたから、昔話をしてあげるよ」
「え?なになに?」
ニコニコと話し始めるケイに、小春は身を乗り出した。
キリッとした目つきの〝こばと〟も、今日は優しい目で二人を見ていた。
**おしまい**


