元勇者は彼女を寵愛する
「あれ?また黒髪増えた?」

 リーチェは不思議そうに僕の前髪に触れている。
 偽り続けた僕の髪色は、だんだんと染めにくくなってきている。
 いずれ、僕の髪色が元の黒髪へと完全に戻ってしまうのかもしれない。

 その時、リーチェはどんな反応を示すだろうか…。
 
 僕はずっと懸念していた事を、意を決して彼女に問いかけた。

「リーチェ。もし、僕達の間に生まれた子が黒い髪色をしていたとしたら、君はどう思う?」

 リーチェは僕の言葉の意味をすぐには理解出来なかった様で、首を傾げると、次第にその顔が真っ赤に染まっていった。

「え!?子供!?私と、ヴァイスの!?子供が出来るの!?」
「まあ、そういう事をしたら出来るかもしれないよね」
「そ……!!?」
 
 リーチェは口を開けたまま固まってしまったが、次第にその口元が緩みだしている。
 リーチェは思った事をつい口から出てしまう事を気にしているけど、その表情からも考えている事がだだ漏れだ。
 そんな彼女の嘘がつけない所も、素直で可愛いくて大好きなんだけどね。

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