王女の選択
「あのつまらないことなんですが」
「カーラ殿からの頼みでつまらないことなどありません」
「いえ、本当に言葉にするのもあれなんですが・・・」
「ますます興味がそそられます」
リュカはぐっと顔を近づけると、キラキラした眼でカーラを見つめた。カーラは覚悟を決めたかのように大きくため息をつくと、リュカに視線を合わせた。
「ダンスを教えていただきたいんです」
「ダンス?・・・ダンス・・・ですか?」
さすがのリュカもこのような願いだったとは思っていなかったようで、キョトンとした顔をしてカーラの言葉を繰り返した。
「社交界にデビューしておりませんし、舞踏会に行く機会など全くありませんでした。ご存知の通り、剣さばきの練習や城の仕事で手一杯でしたので」
ただ・・・カーラは声を落とすと恥を忍んでリュカに話した。
「ジェラルド殿が楽器奏者を何人か用意するように指示したそうで、ダンスを考えているのではないかと。ここの女主人として宴の準備を完璧にするよう言われているのにダンスができないのは良くないと思ったのですが、この城で踊れる者が誰もおらず・・・」
「ああ!だからジェラルドに誰を残していくのか聞かれたわけですね?もちろんお相手をさせていただきます。ダンスの練習なんて言ったら、ジェラルドは仕事を棒に振ってでも自分が名乗りを上げたでしょうね」