王女の選択

今日の僕は幸運だなと頬を染めたカーラの手を取ると、空いているスペースに導いた。

「いろいろなダンスがありますが、時間もありませんので基本のステップだけを教えますね」

「お願いします。あの・・・ジェラルド殿はダンスをよくされるのですか?」

リュカは顎に手を置くと、うーんと考えはじめた。

「よくダンスをするのかと言われると、困りますね。何を基準にすればいいのかわかりませんが、ストラウス公国の大公であり、アングラード国王の第二王子でもあるので、それなりに踊れることは確かですし、舞踏会などでは女性達に囲まれてしまい大変なのも確かです。ただダンスが好きかと言われるとそうでもない気がします」

もちろん私はご婦人方とお近づきになれるチャンスですからダンスは大好きなんですけどねと言いながら、例のウインクをしてきた。ここまで女性に気軽に接してくるとすがすがしくも感じる。

「リュカ殿は本当にどの女性に対してもお優しいんですね」

「もちろんです。女性は愛されるべき存在ですからね・・・・まぁ苦手な女性がいると言えばいるんですが」

そう言うと鼻の上にしわを寄せ、嫌そうに身震いした。
リュカ殿が苦手?リュカ殿のように誰にでもどこにでも愛を振舞うような人物が苦手とする女性とは一体どんな人物なのだろうか。

「まぁそんなことはいいとして。ダンスの基本から説明しますね」

そう言うと、宣言通り昼食の時間ぎりぎりまで、リュカの指導によってみっちりとダンスのステップを教えてもらった。剣の扱いはお手のものでも、ダンスのステップは何度やってもリュカの足を踏んでしまい謝ったばかりのカーラだったが、ぎこちないにしてもようやく一曲通して踊れるまでには上達した。

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