王女の選択
** * * * * 

王都に足を踏み入れたのは、夕暮れ時だったが町はまだ人で溢れていた。

王都に入る前の門には兵が一行の到着を待っていて、ジェラルドたちの姿を確認すると帰還の合図となるラッパを吹き鳴らした。

すると待っていましたとばかりに大きな歓声と共に人々は道の両端に移動し、王の帰還を喜んでいたが、カーラの姿を見たとたん人々は熱狂した。

「ストラウスに栄あれ!!」

「カーラ様に祝福を!!!」

「カーラ様!!」

その歓迎ぶりはカーラが考えていた様子とは真逆だった。



どういうこと・・・?


ジェラルドをちらっと見るが、ジェラルドは前方を見据えたままだ。

カーラは自分がどう振舞うべきか迷っていると、リュカが後ろを振り向きながら、カーラに親指を立てた。

「すごい歓迎ぶりじゃないか!カーラも手を振ってごらん。国民は大喜びすると思うよ」

そう言われ、戸惑いながらぎこちない微笑みと共に手を振ると一段と歓声が沸き起こった。

困惑しながらも、城にたどり着くまでカーラはできるだけ笑顔で手を振り続けたが、城門を潜り抜けたとたん、ジェラルドがカーラの馬の尻を叩き同時に自分の馬も走らせた。

カーラは突然馬が走り出したために手綱を握りしめ、落ちないよう太ももに力を込めてなんとか体制を保ちながら、ジェラルドを睨みつけた。

ジェラルドは何も言ずについてくるようにとだけ言うと厩舎までスピードを緩めずに走り続けた。

何がどうなっているかわからないカーラはただジェラルドについて行くしかなかった。

あっけに囚われている馬丁に目もくれず、馬から飛び降りたジェラルドは手綱を渡し、カーラを馬から抱き下ろすとカーラの手を握りしめ駆け足で城内へと入って行った。
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