神殺しのクロノスタシスⅣ
俺の思いがどうであれ、子供達の思いがどうであれ。

目の前の二人は、商談を進めていた。

「済みませんね。実は先月、工場の方でちょっとした事故があって…」

と、オーナーは語った。

工場?お前、工場まで持ってるのか?

「その事故で、奴隷が二人ほど、腕が潰れて使い物にならなくなりまして…」

…!

なんてことを…そんな、へらへらしながら…。

「あとの二人は、弱って動かなくなったので…。これから繁忙期も迎えることですし、いっそ新しい奴隷を仕入れようと思いまして」

「そう」

まるで、使い捨ての消耗品のように。

要らなくなったものは捨てて、新しいものを使えば良い、って?

そんな身勝手な…。

…いや、待てよ?

事故で働けなくなったのが二人、衰弱して働けなくなったのが二人。

使い物にならなくなったのは、四人。

そして、今ここにいる新しい「補充品」は六人。
 
あとの二人は、何で…?増員でもするつもりなのか?

「あと、女の子の方は…。どうやら娼館の中に、病気持ちがいたようで。回り回って感染したらしく、店に出せなくなりまして」

オーナーは何事もなかったように、へらへらしながら言った。

…この男。

農地や工場を持っているだけでなく、娼館まで持っているのか?

上得意様というのは、そういう意味か。

あらゆる方面で、奴隷を使っているから。

男の子には、力仕事を。

女の子には、売春を。

それぞれ強要して、それで金儲けをしているのか。

なんて…悪辣極まりない。

「病気持ち…?『病原体』は処分したんだろうね?補充したのにまた感染されたんじゃ、キリがない」

シルナもどきは、眉をひそめて言った。

「病原体」って…。

「勿論、感染源の女は処分しました。店で働いている女は、全員検査して…。引っ掛かったのは二人だけです」

また、処分…。

やっぱり、病原体というのは…感染源となった女性のこと…。

「感染しているとはいえ、重篤ではないので…。…これも、下取りしてもらえますよね?」

「…」

揉み手をするオーナーに、シルナもどきは溜め息をついた。

「…まぁ、仕方ないか。良いよ。最低額にはなるけど、こちらで引き取ろう」

「ありがとうございます。いやぁ、さすが太っ腹ですな」

…何がだよ。

奴隷の下取りっていうのは、何なんだよ。

と、思っていると。

待っていたかのように、下取りされる奴隷達が、オーナーの部下らしき人間に引き連れられて部屋に入ってきた。
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