神殺しのクロノスタシスⅣ
奴隷として散々使い潰された子供達は、酷く憐れだった。

いや…憐れを通り越して、悲惨だった。

機械に巻き込まれて腕を切断した、という話の通り。

二人の少年には片腕がなくて、しかも手当てもろくにされていないらしく、血で汚れた包帯が巻き付けてあるだけだった。

二人共出血のせいか、痛みのせいか、青褪めた顔をして、今にも死にそうに見えた。

咄嗟に、回復魔法を、と思ったが…。俺には今、そんなことは出来ないんだった。

そして、女の子二人を含む、あとの四人。

四人共疲れ切ってぐったりとした様は、最早死人のようだった。

こんなになっても、下取りって…。

いや…それでも、処分されないだけマシなのか?

少なくとも生き残った彼らは、もう一度商会に戻って、治療を受けることが出来るのだろう。

そう思っていたが、そんな甘い考えは、この後になって粉々に打ち砕かれることになるのだが。

そのときの俺は、まだ知らなかった。

それよりも、そんなボロボロになった子供達を見ても。

シルナもどきが、何の反応も見せなかったことの方がショックだった。

このシルナもどきは、シルナではない。分かっているはずなのに。

それでも、この冷淡な…シルナの顔をした男の姿を見ていると。

どうしても、酷く気分が重くなる。

「それじゃ、下取り価格を引いて…金額はこれで」

「は、分かりました…。後日、いつも通り口座に振り込みさせて頂きます」

オーナーとシルナもどきは、書類を交わして契約を結んだ。

六人の人間の命と、人生が懸かっているというのに…とても簡素な手続きだった。

二人の口から出る言葉も、金のことだけ。

売られる子供達に配慮する言葉は、一つもなかった。

こうして、取引はあっという間に終わり。

「それじゃあ、私達は帰るとしよう」

シルナもどきが立ち上がるのに合わせて、俺と同僚は、子供達を繋いでいた鎖を…オーナーの手に引き渡した。

そうするより他になかった。

シルナもどきは、当然のように振り返ることはなかったけれど。

どうしても振り返ってしまった俺は、子供達は泣きそうな顔と、縋るような視線を見てしまった。

…あぁ、見なければ良かったと思った。

ここに、本物のシルナがいたならば。

この子供達は、今頃…こんな目には遭っていなかっただろうに。
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