神殺しのクロノスタシスⅣ
「俺は吐月・サーキュラスと言います。俺も、シルナ・エインリーの被害者です」

…。

「吐月さんは、シルナ・エインリーに何をされたんですか?」

「俺は長年、雪刃という魔物によって自分の身体を支配されていました。俺の身体は、魔物との適性が非常に良いそうなんです」

「そうなんですね」

「だからこそ、シルナ・エインリーは、そこに目をつけたんだと思います」

「具体的にお話してもらえますか?」

「はい。彼は俺を雪刃の呪いから解放しました。俺はそのとき、これまで殺してしまった人々への十字架を背負い、死ぬつもりでした。でも、シルナ・エインリーがそれを阻止したんです」

…。

「その目的は、俺を新しい魔物と契約させ、一つの戦力として利用する為です。俺に恩を売って、自分を決して裏切らないように操作したんです」

…。

「俺は望まずに、新しい魔物と契約させられました。ようやく血生臭い人生から脱却出来たのに、あの男は、また別の修羅の道を、俺に押し付けたんです」

…。

「そして、今回また、そんなシルナ・エインリーのせいで、魔導師排斥論者のターゲットにされてしまいました」

…。

「俺は今、赤い魔法陣に呑み込まれ、抜け出すことが出来ずにいます。いつ帰れるのか、いや、帰ることが出来るのかも分かりません。俺がこんな目に遭ったのは、シルナ・エインリーのせいです」

…。

「だから、俺はシルナ・エインリーを許しません」

…。

「ありがとうございます、吐月さん。…さて、それでは次の方、こちらはクュルナさんと言います。彼女も、シルナ・エインリーの被害者です」

「はい、そうです。私もまた、シルナ・エインリーの手駒の一つにされてしまいました」

クュルナちゃんもどきが、マイクを握って舞台に立った。

「クュルナさんは、どうしてシルナ・エインリーに目をつけられてしまったのでしょう?」

「私は元々、故郷で死者蘇生の魔法を研究していました。その知識が、自分にとって有益だと判断したんでしょう。あるいは、この研究を勝手に完成させられたら困るから、自分の監視下に置きたかったのかもしれません」

…。

「シルナ・エインリーは、全ての魔法を、自分一人で独占したかったのですね」

「そうだと思います。それに私は、魔導師でありながら、魔導師排斥論者の一人でした」

「つまり、元々はシルナ・エインリーの敵だったんですね?」

「そうです。私は早くから、シルナ・エインリーの危険性に気づいていました。だから彼を止める為、強引な手段を用いて彼を捕らえようとしました」

…。

「ですが彼はそれを許さず、手駒を用いて逆に私を追い詰め、行き場をなくした私を半ば無理矢理、聖魔騎士団に引き入れたのです」

…。

「私には選択肢がありませんでした。そしてその後も、なし崩し的にシルナ・エインリーの味方にならざるを得なかったのです」

…。

「それが彼の常套手段なのです。例え相手が敵でも、自分にとって有益とみなせば、言葉巧みに自分の味方にする。卑怯な男なのです」
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