神殺しのクロノスタシスⅣ
…。

…ん?

周囲を見渡すと、そこにはもう、あの歪な檻も、謎の同僚も、シルナもどきもいなくなっていて。

あの赤い魔法陣があった、雑居ビルの会議室に戻っていた。

…あ。

俺、戻ってこられたんだ。

「…良かったー…」

俺は、思わずそう呟いていた。

シルナから突破法を聞いて、異次元世界に飛び込んだは良いものの。

本当に戻れるのかどうかの保証は、何処にもなかったからな。

一生あの奴隷商会で使われるなんて、まっぴらだった。

危ない危ない。

さて、ひとまず安心した…と思っていると。

「…ん?」 

そういえば。

ここには魔法陣があったはずなのに、いつの間にかその魔法陣が消えている。

おまけに、御神体のように鎮座していたはずの、あの水晶玉。

水晶玉じゃなくて…賢者の石、って言ったっけ。

それも消えている。

一体、何処に…。

…すると。

「…ふぇ?羽久?」

「は?」

突然名前を呼ばれて、振り返ってみると。

そこには、シルナがぽやんとした顔で立っていた。
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