神殺しのクロノスタシスⅣ
賢者の石。

あらゆる魔を封じ込める力を持つ、魔封じの石。

俺の魔法も、シルナの魔法も、その効力のせいで…無効化されたっていうのか。

それなら、俺達の魔法が相殺された理由も分かる。

さっきのは、加減した一撃だったからな。

だが、それなら…。

「魔法を使わずに…直接殴り込む」

杖を使わず、そのまま直接肉弾戦に持ち込めば良い。

…と、思ったが。

賢者の石が、再び光り始めた。

…!?

「何だあれ…!?」

「…!まさか…」

まさか、って、どういう、

「羽久伏せて!」

「は!?」

俺は、シルナに半ば突き飛ばされるようにして、床に伏せた。

突き飛ばされながら、敵の持つ賢者の石が光を増し、レーザーのような光線をぶっ放してきた。

そのレーザーが、建物の壁を貫通していた。

「何だあれは!?」

俺は床に伏せながらそう叫んだ。

賢者の石から、なんか出たぞ?

「何で君が…その力を…」

シルナは俺の問いには答えず、呆然と謎の男を見つめていた。

まさか、シルナにも分からないのか…?

「賢者の石を渡せ」

再び、謎の男が言った。

「石さえ返せば、これ以上の手出しはしない。賢者の石を渡せ」 

…こいつ…。

立ち上がった俺は、どう戦局を打開したものかと考えた。

まず前提として、魔法は通じない。

魔力を消耗してしまった今の俺達では、賢者の石の魔封じ効果を無力化するほどの、強力な魔法は使えない。

ならば…。

「シルナ…」

「…大丈夫だよ。私達がやることは変わらない」

シルナは正気を取り戻して、そう言った。

…分かったよ。

さっきまでの、くそったれな異次元世界と比べたら。

この程度の試練は、試練とも言えないレベルだからな。
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