神殺しのクロノスタシスⅣ
「…」

賢者の石を持った謎の男は、しばしクュルナとシュニィの二人を見つめ。

「…致し方ない。この場は退く」

退避する姿勢を見せた。

どうやら、分が悪いと判断したらしい。

抵抗するよりはマシだが、しかし賢明な判断とは言えないな。

「…みすみす逃がすとお思いで?」

「あぁ。逃げるだけなら楽だ」

そう言った途端、謎の男が手にした、二つの賢者の石が光った。

…!あいつ、また…!

次の瞬間、再びレーザー光線が飛んだ。

クュルナとシュニィに、ではない。

奴の狙いは、俺だった。

「…!」

そして俺は、咄嗟に防御壁を張れるほど、魔力が残っていなかった。

「羽久さんっ!」

謎光線を前に、アホみたいに立ち尽くすしかなかった俺の代わりに。

クュルナが間に入って、防御魔法を張ってくれた。

今クュルナが庇ってくれなかったら、直撃だった。

いや、違う。

敵は、それを狙ったのだ。

「っ!待ちなさい!」

クュルナが俺を庇った、その一瞬の隙を突いて。

敵は、会議室の窓ガラスを割って、宙に飛んでいた。

「っ…」

シュニィがすぐに窓枠まで追いかけたが、遅かった。

そこに、既に奴の姿はなかった。



…こうして。

何とも後味の悪い形で、賢者の石を持った謎の男との攻防戦は、幕を下ろしたのだった。
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