神殺しのクロノスタシスⅣ
シルナと共に、イーニシュフェルト魔導学院に戻ってきてみると。

天音が、真っ先に出迎えてくれた。

イレースはと言うと、授業中だったので出迎えにはこられなかったが。

授業と授業の合間に、ひょっこり顔を出した。

第一声は、「なんだ、もう帰ってきたんですか」とのこと。

相変わらず、情け容赦のない物言いだったが。

イレースがそう言うのも無理はない。

何せ、俺達。

魔法陣に入って異次元世界に飛ばされてから、まだ数時間しかたっていないのだとか。

これにはびっくりした。

体感時間的には、数日くらいはたっていると思っていたのだが。

全然そんなことはなかったらしい。

お陰で、全然イレースに心配してもらえなかった。

どころか、「学院長がいない間に、学院内の風紀を取り締まろうと思っていたのに…」とか、ぶつぶつ文句を言われた。

良かったな、シルナ。早く戻ってきて。

で、それはともかく。

帰ってきたは良いものの、前述の通り俺達は疲労困憊なので。

まずは天音に頼んで、医務室で休ませてもらうことにした。

その間天音が、疲労回復の為の回復魔法をかけてくれた。

有り難い。

「ごめんな、天音…。助かる…」

さながら、温泉入ってる気分だよ。

めちゃくちゃ楽になる。

「ううん。僕はこれくらいしか、協力出来ることがないから…」

そんな謙遜するなって。

あと。

「シルナにもかけてやってくれ、その魔法」

「え?勿論。でも…もう良いの?大丈夫?」

過保護だな。

「もうだいぶ楽になったから。俺はもう良い。シルナを頼む」

「分かった。…じゃあ、次は学院長先生に」

魔法をかけ続けてくれた天音が、今度はシルナに杖を向けようと、シルナのベッドに近寄るも。

「あぁ、大丈夫大丈夫。私は平気だから」

「え?でも…学院長も疲れているでしょう?」

「疲れてはいるけど、天音君の手を煩わせるほどじゃないよ」

と、強がるシルナ。

お前って奴は…素直に頼っとけよ。

さっきも、シュニィの申し出断ってたし。

「それより、イレースちゃんの補佐をしてくれないかな?彼女一人で学院を回してるから…」

「…でも…」

「本当に大丈夫だよ。…皆が本物だってだけで、私は安心してるから」

…まただ。

何なんだ、さっきから…本物とか偽物とか…。

「だから、イレースちゃんの手伝いをしてあげて。お願いだよ」

「…分かりました。でも、無理はしないでくださいね。何かあったら呼んでください」

「うん、分かったよ」

「…それじゃ…」

天音は後ろ髪を引かれるような風で、名残惜しそうに医務室を出ていった。
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