神殺しのクロノスタシスⅣ
「他の人なら嫌だけどさ。君になら、何て言われても良い。好きなだけ俺を責めてよ。『玉響』にはその資格がある」

「…」

君の夢を、新しい人生を…掴みかけていた、あと一歩のところで。

その命を奪ったのは、俺なんだから。

許されるとは思ってないし、許されたいとも思ってない。

何より自分が、絶対に許せない。

あのときの愚かな自分を。

だから『玉響』は…好きなだけ、俺を罵ってくれれば良い。

「やっとこの機会が来た。死ぬまで会えないと思ってたから、今こうして『玉響』に会えて…こんな形だけど、俺は嬉しーよ」

これが、本物の『玉響』の意志なのかは知らないけど。

まぁ、『玉響』だと思って会話をするよ。

「気が済むまで俺を罵ってよ。俺を責めて…。俺に、罪悪感を抱かせて」

そうして、初めて俺は知ることになるから。

自分が犯した罪、その重さを。

後悔も、反省も出来ない俺が…唯一抱くことが出来る感情。

それが罪悪感。

『八千代』も学院長達も、皆優しーから。

俺を責めるようなことは言わないから。

でも君だけは、思いっきり俺を責める資格がある。

だから、そうして欲しい。

あぁ、それと。

ずっと言ってなかった…言えなかったからなんだけど…。言いたかったことがある。

「『玉響』…」

今更こんなこと言っても、仕方ないけどさ。

こんな言葉じゃ、君は少しも救われないだろうけど。

でも俺は、どうしても君に言いたいことがある。

「…ごめんね」

俺だけ生き残って。

君を殺してしまって。

君を殺して、俺だけ生き残るような真似をして。

本当に…ごめん。

「俺もさ…『八千代』と『玉響』と、三人で生きてみたかったよ」

きっとそんな世界は、とても明るくて楽しくて幸せで…素敵なものだったろうね。
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