神殺しのクロノスタシスⅣ
「ひっく…うぅ…」

…。

…なんか泣き出したんですけど。

泣き出す前に、色々と言うことややることがあるでしょうよ。

「…何泣いてんですか?」

まーた、自分は世界一不幸だ〜、とか思ってるんですか。

それとも、単に殴られた痛みで泣いてるのか。

多分どちらもだと思われる。

でも俺にとっては、どうでも良いことだ。

こいつが何を考え、何をしようともどうでも良い。

一生馬鹿にされ続ける人生を送ろうとも。
 
そのせいで、ポエム帳が増えることになろうとも。

ただ、俺にとって重要なことは一つだけ。

「…キュレムさんを返してください。彼は何処にいるんですか?」

それさえ知ることが出来れば、あとはどうでも良い。

この俺が、珍しくやる気を出してるんだから。

ちゃんと答えて欲しいですね。

それとも、もう一回ビンタから始めましょうか?

「し、知らない…。この世界は、魔法なんて使えないんだ…」

泣きじゃくりながら、少年が答えた。

そういえば、この世界。

何かに封じられているかのように、魔法使えませんよね。

それは、魔導適性のない、この少年の人生を追体験させられていたからだと思っていたけど…。

「どうせ…ど、どうせ…出られないんだ、あんたは…。この世界から…」

…。

「あんたの仲間も…このせ、世界からは…帰れない…」

ほう。

つまりキュレムさんも、俺と似たような世界にいると。

それを早く言って欲しかった。

無駄に殴って、無駄な労力を使ってしまったじゃないか。

「魔導師なんて…魔導師なんて、皆いなくなれば良いんだ…」

それが、あなたの受けた苦しみに対する、あなたなりの報復ですか。

本当に滑稽ですね。

涙と鼻水ダラダラ垂らしながら言ってるから、余計に。
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