愚かな男を愛したセリーナ
「師匠! それは……」
「セリーナ、君もわかっていたことだろう。もういい加減、アイラを庇うことは止めるんだな」
「それでも、俺はっ、セリーナが、いいっ」
「ほう? 君はアイラよりセリーナが好きなのか?」
「そうだ」

 返事をした途端、セドリックの輪は少し緩みはじめる。

「ふむ。それは真実のようだね。クズ男にしては、いい返事だ」
「俺は、セリーナが、好き、なんだ」
「へぇー、あんなにアイラ、アイラといって私の可愛い弟子を泣かせた男が、よく言うね」
「もう、間違えない。ギルド長から聞いたんだ。俺の天使は、セリーナなんだ」
「ふーん、面白くないけど……、セリーナ。君はどうなんだ? こいつのこと、許してやるのか?」
「師匠! もういいの、もう、いいの。……お願い、この輪を外してください」

 セリーナの哀願を聞いたミーナは、その手をセドリックの首にある白い輪に触れた。

「まったく、セリーナも変わっているよね。こんなクズ男がいいなんて。セドリック、今後不倫や浮気をしようものなら、お前のをもぐからね。それを約束できるかい?」
「あぁ、約束する。俺はセリーナしか、もう愛さない」

 その言葉を言った途端、パリン、と割れる音がする。セドリックの首にあった輪は消えていた。

「あぁ、師匠! ありがとうございます」
「セリーナに免じて、今回はもう許してあげるよ。じゃ、セリーナ、またね」

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