再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
 彼に向かって深々と頭を下げると、クスクスと楽しげに笑い返してきた。

「大丈夫、幹太は僕に嫌悪感を示している訳じゃない。ママを狙っている男を嫌悪しているだけ。それぐらいはわかっているよ」
「ノア……」
「だからこそ、こうして真綾のこと心配して相談してきたんだしね」
「……」

 確かにその通りなのだろう。幹太は、身近にいる大人としてノアを信用している。
 ノアが真綾に求愛する前までは、二人は仲が良かったからだ。

 ただ、ノアが真綾にアプローチするようになってから、警戒するようになっただけ。
 もともとは仲がよかった二人だからこそ、こうして真綾の心配をしてノアに相談を持ちかけたのだろう。

 幹太の前ではなるべく悩んでいる様子を見せないようにしていた。
 だが、聡い子だ。薄々と感じとっていたのかもしれない。

――母親、失格だわ……。

 零れ落ちるようにため息が出てしまう。
 これからは特に気をつけなくてはいけない。幹太を不安になんてさせられないだろう。
 キュッと唇を噛みしめて自身を責めていると、ノアは首をユルユルと横に振る。

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