再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
 その視線には、有無を言わさないといった強い意志みたいなものを感じた。

 怯んでいる真綾に対して、ノアは淡々とした様子で携帯を見せてくる。
 ディスプレイには着信履歴があり、そこに真綾の自宅からの履歴が。

 ノアに電話をするとき。真綾は自分の携帯を使う。自宅の電話からは電話をかけた覚えがない。
 首を傾げていると、ノアは小さく笑う。

「君の小さな騎士からの電話」
「え?」

 ノアが真綾に求愛していることを、幹太は知っている。だからこそ、彼に対してかなり辛辣な態度を取っているはず。

 そんな幹太が、どうしてノアに電話などする必要があったのか。
 ノアと会ったとしても警戒心剥き出しにしているのに、どうしてなのだろう。

 意味がわからず未だに眉間に皺を寄せていると、ノアは肩を竦めてカラッと笑った。

「幹太が心配していたよ」
「え?」
「ママが、元気がない。ノアが苛めたんじゃないんだろうなって」
「……息子が失礼なことを。申し訳ありません」

 まさか、そんなことを伝えるために、幹太はノアに電話をかけたのだろうか。
< 99 / 224 >

この作品をシェア

pagetop