再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
 ますますテンパっている真綾を車のところまで連れていくと、ようやくその腕から解放された。
 だが、すぐさま助手席を開き、そこに座らせようとしてくる。

「待ってくださいってば、央太さん」
「待っていると、真綾は俺との時間を作ってくれないだろう?」
「うっ……」

 その通りなので、ぐうの音も出ない。そのことは、央太もわかっているのだろうからこそ、こんな強引な手を使ってきたのだ。
 彼の気持ちはわかったが、それでも心の準備が整っていないのに彼と過ごすのは無理だろう。デートなんて尚更だ。

 無理です、と腰を上げようとしたのだが、央太は覆い被さるように身体を近づけて逃げ出すのを阻止してくる。

「逃がさないって言っただろう? 真綾」
「強引です! 央太さん」
「そう。俺は強引な男だ。そんなこと、真綾は知っているだろう?」
「っ!」

 確かにこの人は強引な人だ。こうと決めたら、てこでも動かない。
 真綾が彼に恋をしたきっかけも、彼からの猛烈なアプローチがあったからだ。

 こんなに翻弄し、茨の道になるかもしれないとわかっていてもどうしても彼の子どもを産みたいと思うまで好きになった男性。
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